コラーゲンで治療する

コラーゲンはみなさん、よく耳にする物質の名前ではないでしょうか。そうです。化粧品などに使用されている、あのコラーゲンです。コラーゲンが歯の治療に有効だなんて、意外な気もします。ですが現実に、コラーゲンを治療に用いている歯科医はいるのです。

コラーゲンというのはたんぱく質です。それも、筋肉などを構成する栄養素です。人間の体重の約20%はたんぱく質であるといいますが、その内の30%はコラーゲンです。

コラーゲンは、細胞と細胞をドッキングさせる役割を担っています。コラーゲンがなければ、全ての生物は体細胞生物のままで、高等生物は誕生しなかったかもしれません。

私たちの身体の中で、コラーゲンが一番多く含まれる部位は皮膚になります。皮膚の約70%はコラーゲンでできています。そして私たちの骨にも、コラーゲンが含まれています。骨に含まれるコラーゲンは約30%です。骨と聞けばカルシウムを思い浮かべますが、骨の根幹はたんぱく質であり、そのたんぱく質の殆どがコラーゲンです。骨の再生をするには、コラーゲンが不可欠です。

炎症がおきている部位では、コラーゲンを溶解させる酵素が存在しています。つまり、炎症というのはコラーゲンを溶解させながら悪化していくのです。コラーゲンが減少すると、歯周ポケットが広がって、歯周病になりやすくなります。逆にいえば、炎症のおきている歯ぐきのコラーゲンを増やしてやれば、その炎症を静めることができます。

ミョウバンという食品添加物がありますが、これはそれ自体に殺菌作用のあるものです。これを歯ぐきに塗布してやると、ミョウバンのエキスがその部位のたんぱく質に影響を与え、炎症がひいていきます。また、ミョウバンには骨を再生させる効果もあります。

 

心療歯科

「心療歯科」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
うつ病などを扱う心療内科はよくご存知だと思いますが、実は歯科にも心を治す分野があるのです。それが「心療歯科」です。心療歯科は、精神的な問題から歯科的な症状を発症する方や、お口の機能異常や歯科的なハンディキャップで心が病んでいる人、原因不明の不定愁訴をお持ちの方を幅広い治療方法によって治します。つまり、ただ歯を治療するだけではなく、歯に関する悩みから生じる「心の病」までを解決し、心を元気にさせる診療分野です。心療歯科が主に対象とするのは、恐怖心のあまり歯科医院に行けない方、歯並びが悪いために消極的になり心まで病んでいる方、口臭で悩んでいる方などです。
お口の中に痛みや違和感を抱えていたり、歯や顎の病気に起因する原因不明の不定愁訴を訴え、長期間にわたって歯科をはじめさまざまな診療科を転々とする人たちがいます。
こうした「さまよえる患者さん」や「歯科ノイローゼ( 専門的には歯科心身症と呼びます)で困っている方を対象として治療を行うのが心療歯科です。

膿漏に影響する生活の改善

歯磨きを「朝のおめざめ儀式」から膿漏治療の歯磨きに変えるのは、容 易ではない。これだけで「生活改善」と呼べる。だが、歯ぐきの骨を強化するために、生活改善をさらに推進して病因除去を行い、膿漏と縁を切りたいものである。まずは食生活について検討する必要がある。具体的には、かむ回数を増やし、硬い食物への移行準備をはじめる。歯ブラシをすることで歯肉の表面は徐々に回復し、強化される。しかし歯ぐきを内部まで、歯槽骨や、歯根表面のセメ ント質、歯根膜などを鍛えねばならない。噛むことである。 組織は、適当な刺激を受けてこそ、健康を保つ。現代は食べ物が急速に軟らかくなった。歯ぐきにとって「適当な刺激」とは、二~三代前の先祖の食生活=硬いものを十分に噛む暮らしである。 そこで、「軟らかいものを一口五十回噛む」ことから、始める。食事時聞はやや長くなるが、それ は仕方がない。 噛むことによって、唾液が出る。唾液腺のホルモンが骨の回復に役立つことは、かなり広く知ら れる。歯ぐきの血行もよくなる。五十回噛みは、最初の一 ~二週間は苦痛だが、続けると三週間で 「くせ」になり、慣れる。重症では百回噛みもよい。噛むのは必ず柔らかいものから始めよう。

歯冠について

歯冠は昔から、金属冠がおなじみで金や白金などのほか、金銀パラジウムやニッケルクロムなどの合金も使われます。
この場合は金属冠とちがって、自分の歯との区別がつかないように作ることも可能です。

レジン歯は、時に数年で変色したり、減って盛り乗せが必要になったりもしますが、ポーセレン冠なら、この心配はないはずです。
冠全体を陶材でつくる陶材冠は昔からあります。
しかし、割れやすいし、精度が悪く、 広く使われてはいないのです。
ポーセレン冠は、審美的に好まれて普及しました。
ですが見ばえがよいだけで、健康面からは、金属冠に優るところはないとの見方もあります。

どれも一長一短なので、自分の状況に応じて選びましょう。

顎関節症と矯正歯科治療

顎関節症でも、矯正治療は可能ですが、痛みなどの急性症状を改善した後、矯正治療を実施します。

顎関節症とは一言で説明すると、顎関節の異常によって、「口が開かない」、「あごが痛む」、「あごが鳴る」が三大症状と呼ばれます。
顎関節付近の痛みや食べ物を噛む時の痛みなどの他、口も開けない (開口障害)、食べ物をかむときや、会話時に大きい口をあけるとき、顎が鳴るような症状があります。

痛み、口が大きく開かない場合は、矯正治療により顎関節症治療、一般歯科、矯正歯科、口腔外科などで、これらの症状をコントロールします。
症状によっては大学病院で顎関節規格エックス線写真、MRI (磁気共鳴装置) または顎運動測定装置、筋電図などの精密検査を行う必要があります。
急性症状を解消する治療をなるべく早期に行う必要があります。

補綴の前準備にも矯正治療は有効

入れ歯や義歯などの人工の歯で、欠損歯やかけてしまった歯を補うことを「補綴」と呼んでいますが、補綴をよくするためにも、矯正治療を利用します。

たとえば、ブリッジなど、歯が抜けている場合は両側の歯を利用して不足している歯をまたいだ橋のような人工歯を付けることができます。
土台となる両側の歯が倒れていたりすると、構造的にしっかりとした安定感がありません。
そこに矯正歯科治療をして、歯をまっすぐに起こしてあげると、力がかかっても耐えられるものにすることができます。

また事故などで前歯を折ってしまい、本来は入れ歯が無理な場合、歯肉の中に根が残っていれば、矯正の力を栄養して引っ張り出し、それを土台にして入れ歯をすることができます。

矯正歯科治療で心に若さを

歯並びは何歳まで治療できるのでしょうか?

私が聞いた話では、70代の方が歯医者に通っているとのことでした。
歯並び、歯の隙間を矯正歯科で治したいということでした。

なお「私は趣味として社交ダンスをしていますが、パートナーと組んだときに口の中が気になる」ということが、歯並びを治療する理由だそうです。
「青春とは、心の年齢である」を言い表しています。

睡眠時無呼吸症候群

あごに不調和がある場合、顎がずれているため、左右のバランスを取り戻すために岐筋・胸鎖乳突筋などを通常よりも余分に使用しなければならず、結果として肩こりが起こる場合があります。

肩こりの原因である噛み合わせ誤差を修正する場合に、肩こりは軽減されます。
しかし、噛む時の癖や姿勢によっても肩こりが起こるため、噛み合わせの治療だけで肩こりを無くすことはできないのです。

睡眠時無呼吸症候群とかみ合わせも深い関係があります。
テンプレート療法といって、下の顎の噛み合わせを治療することによって、高い改善効果を発揮することが認められています。

しかし治療を実施するためには、専門外来や耳鼻咽喉科と連携する必要があります。
噛み合わせは歯科の専門ですが、歯科医師は、耳鼻咽喉科や無呼吸症外来の診断があって、初めて効果的な装置を作ることができるのです。
耳鼻咽喉科と歯科が連携して原因を究明し、その結果初めて無呼吸症候群に苦しむ患者へのよりよい治療ができるのではないでしょうか。

治療の一つとしての咬み合わせの調整

顎関節症の原因はいろいろありますが、その中に咬み合わせの不整合があります。

この場合、咬み合わせおよび歯並びに矯正治療を施し、顎関節の症状を緩和させる治療を行うことが一般的です。
しかし、すべての顎関節症に対して矯正治療が効果的というわけではなく、一般歯科や口腔外科と矯正歯科医とよく相談しながら治療を進めることが必要となります。

また顎関節の症状の一つで、関節の部分で音が鳴ることがあります。
日常生活での会話中にコキコキ鳴って不快という人もいますが、特にその音を100%取り除く対処療法は、まだ研究中ということです。

歯による病巣感染

歯性病巣感染等の異常な感染症によって起こる病気には、関節炎、心臓疾患、腎臓疾患、眼科疾患、皮膚疾患などがあり、感染症の原因と知らなくても内科と外科で治療が必要となる場合もあるようです。

神経は全身でつながっています。
虫歯が1つでも痛いということは、神経を刺激し全身の症状に影響を及ぼします。
抜歯の場合は麻酔をしますが、いずれにせよ局所麻酔時の患者の身体の状態の全体的な知識が必要です。

腎臓移植などの病の手術をすると、口腔内に虫歯や歯周病などの疾患があるときには、手術が失敗する可能性があるために、腎臓の手術前に歯の治療をする必要があります。
脳卒中や心臓病の患者は、血が固まって血栓を作らないように血が止まりにくい薬を飲んでいます。
最近はそのような薬を飲むのではなく、歯を抜く傾向がありますが、患者が出血した場合、出血を止めるのが難しいので、担当医師と相談しなければならないのです。(傷跡をしっかりと縫合するなどの工夫が必要です)。

骨粗しょう症の患者は注意が必要であり、特に治療薬を服用している人に歯の治療を施す場合、顎の骨が死ぬ病気になりかねません。
可能であれば治療を始める前に整形外科等の先生に歯科医を紹介して、歯科治療を終えることが重要です。
透析患者は、透析した日と同時に歯を抜くなど出血を伴う治療をすると、出血が止まらなくなる可能性もあります。
いつ実施したらよいか、透析医師と事前に相談が必要でしょう。
近年歯周病と心内膜炎、早産や低体重の子供の出産との関係などが相次いで報告され、歯の病巣感染が注目される傾向にあるのです。