口の不健康は全身に広がる恐れあり

「虫歯の治療だけしてもらえれば良い」、「痛みを取り除くだけで良い」という概念だけでは、歯の健康は手に入らないとされています。

「木を見て森を見ず、木を見て山を見ず」とよく言われます。
しかし「歯だけを診察して、口の中をみないし、ましてや全身を見ることがない」であってはならないのです。

口の中には細菌が多く、歯に付着する歯垢1グラムの中には、約1億個の細菌がある。歯の病気になると悪玉菌が増加し、それらが機関や食道を通って全身に渡って、他の臓器に悪い影響を与えるとされています。

肺炎は日本人の死因第4位を占める病気で、口の衛生状態と深い関係があります。
一般に、人の唾液が少しずつ肺の中に侵入しています。
肺炎を引き起こす病原体は、口の中の細菌のような種類であるため、口腔の健康と肺炎は密接な関係があることが常識となっているようです。
「肺炎は高齢者の危険な友人」と呼ばれる程度で、肺炎で死亡する人の数パーセントは高齢者となっています。
肺炎を防ぐために歯科治療をよりよくして、口の中の悪玉菌を増加させないことが重要なのです。

インプラントを利用した治療

歯を移動するとき、歯をしっかり固定する必要があります。(固定源と表します)
しかし、奥歯も前歯も同じような骨の中にあるため、両方共に骨を動かすことができます。
その為、奥歯をできるだけ動かさないように様々な工夫をします。
例えば、ヘッドギアーを装着して奥歯が前に移動しないように固定します。

しかし、日々の生活の中でヘッドギアーを十分な時間装着することは困難なことです。
また奥歯を抜歯した人もいます。
そのような場合にインプラントを使用できます。
顎骨の中に金属製のインプラント装置を植え込み、強力な固定源として使用します。

インプラントを埋めるときと、取り除くには外科医による手術処置が必要です。
また埋める場所にも制限があり、骨の厚さと歯の根の位置に関連して、必要な位置にインプラントを埋めることができない場合があります。
そのような場合、矯正治療医が総合的に判断します。
まず、事前に良く相談するべきです。

歯周病の恐ろしさ

歯周病にやられると、歯ぐきからじわじわ血が出てくるのをご存知ですか。
自分の血だから、 飲んでもかまわないだろうと思う半面、不安にもなるでしょう。

自分の血を飲むのは望ましくありません。
歯周病は以前は歯槽膿漏と言いました。
飲みこまなくても、膿混じりの血は歯の奥できれいな血といっしょになって、からだをぐるぐるまわります。
脳とか心臓とかが、不潔な血に影響されやすいと言われます。

歯周病患者は心筋梗塞になりやすいことが判明しました。
膿混じりの血が原因かどうかはともかく、心筋梗塞の発作を起こし医療施設に担ぎこまれた患者および心筋梗塞で死亡した患者の歯を調査してみました。
すると、歯周病患者はそうでない人の25%パーセントも心筋梗塞発生率が高いことがわかりました。
早くから歯周病になる人は、心筋梗塞 SOSを出しているようなのです。

実は心筋梗塞だけではない死因のいかんを問わずに死亡全体との関係を見ると、口のなかが不潔で、 歯石やむし歯の根っこが残っている人は早く死ぬ傾向にあるようです。
50歳以下の歯周病患者の場合、心筋梗塞の発生は72パーセント増でしたが、死亡率はかなり高い数字が出ているとされています。

通院の問題

矯正歯科医院での定期的な通院が何よりも重要です。
社会人ならなかなか難しいと思いますが、通院は1ヶ月に一度程度ですので、特に歯を移動する時はきちんと通院することをおすすめします。

診察時間は三十分前後で、診察内容によって異なりますが、治療内容および時間は予約の段階で知っているので、計画を立てることは、可能なことです。
その他のデバイスを装着するか、ワイヤーを交換した場合、固いものが食べられず食事に影響が出たり、頻繁に歯をみがくことが必要となるので、職場での昼食時にも歯磨きをするなど生活習慣を変更することが必要です。

これをきっかけにして、口の管理がよくなる患者も多く、矯正治療を開始したことによって、よりよい生活習慣を自分自身に課すことになります。

フッ素に関するある研究②

フッ素がむし歯予防に効果があるという調査が行われてから、アメリカのとある市の市議会が、市の公共水道水にフッ素を入れることを可決しました。
世界最初の水道水フッ素添加が実施されたわけです。
しかしながら、この事業自体が研究の一環でもありました。
10数年後、虫歯予防のフッ素の研究結果がようやくまとまりました。
水道水フッ素化以後に生まれたグランド・ラピッズの子どもは、むし歯有病者率が半数ほども減っていることが判明しました。
ただし、この時点では、歯の再石灰化現象とかフッ素がエナメル質を強化するメカニズムとかはまだわかっていなかったと思われます。

この例に続けと、水道水フッ素化はあっという間に広まりました。
その動きは日本でも広がりを見せるようになるかと思われましたが、そうではありませんでした。
さまざまな理由で反対する方も多かったのです。

フッ素に関するある研究①

1900年頃のことですが、アメリカのとある町に、若い歯科医が開業歯医者を開業したそうです。
すると住民の多くが褐色の歯をしているのに驚きました。
調べてみると、人びとは同じ水源からの水を飲んでいるのがわかりました。水が怪しいということがわかったのです。
さらに調べを進めると住民たちの歯の見てくれは悪いが、むし歯はほとんど無かったといいます。

彼は追求を続けました。
水源の水には多量のフッ素が含まれていました。
フッ素には むし歯を防ぐ力があるのではないかという仮説ができました。
さまざまな飲料水のサンプルを集めて調べた結果、高濃度のフッ素が歯のエナメル質を着色することがわかりました。
研究を始めてからすでに30年が経っていました。

力強い協力者が現れました。
某大手研究所の当時の歯科部長です。
まず、飲料水中のフッ素イオン濃度がどのくらいなら子どもの歯がフッ素症(斑状歯)に冒されるのか。
それを突きとめようとしました。
5年後、フッ素イオン濃度が一定以下ならフッ素症にならないことがわかりました。
斑状歯のエナメル質がむし歯に対して大きな抵抗性をもつという論文を読み返した結果、ひらめきが訪れました。
安全なレベルのフッ素を水道水に加えたら、 この仮説をなんとか科学的に確かめたいという熱意から、フッ素の研究がさらに進められたとされています。

顎変形症

顎変形症は手術と矯正治療を併用して治療する必要があるのでしょうか。

顎変形症は、関連する病院とのチームワークで治療を行います。近年増加する顎変形症による矯正歯科治療ということは、一般に次のようなケースを指すとみなされます。

(1) 上顎と下顎のずれが、前後の違いで大きい (上・下顎前突出)

(2) 上部と下部の顎ずれの違いが左右に大きく、顔もゆがんでいるように見える(顔の非対称)

(3) 上部と下部の顎ずれの違いが、上下に大きい (骨格性の開咬)

(4) それらの複合化

また、これらの現象のために噛み合わせ、および歯並びにも悪い影響を与える可能性があります。
そのような場合には通常の矯正治療だけでは満足な治療結果を得ることができません。
矯正歯科医と病院の口腔外科医に協力・連携によって治療計画を立て、手術を併用して噛み合わせを改善することです。
実際に顎の骨を切る手術は関連病院の外科医が、手術前と手術後の矯正治療は矯正歯科医が担当し、噛み合わせまたは歯並びを改善します。

金属アレルギー

皮膚科医としての権限がないために、歯科医に皮膚病を治療するための歯科治療をすることは禁止されています。
歯科疾患 (特に歯性病巣) ・金属アレルギーなどが原因として疑われるために歯科医院を訪問する皮膚疾患の患者に対して、歯科医師が最初に実行する必要がある医療行為は、皮膚科医や内科医などとの連携です。
皮膚疾患の診断を行うことはあくまでも内科医や皮膚科であって、歯科疾患が原因であると診断された場合に限って、初めて歯医者に行くのです。

歯科の治療とは基本は以下のようになっています。

・歯科金属アレルギーの場合、その原因金属を除去する

・化学物質過敏症などがある場合、原因の歯科材料を取り除き、安全な材料と交換する

・歯の病巣感染が診られる場合は、その病巣の切除

・歯周疾患に対する治療

歯科医は金属アレルギーだけにとらわれず、さまざまな観点から皮膚科医と一緒になって治療を進めることが必要であり、患者の皮膚疾患の緩和や治療に関与するサポートをすることが患者の希望を満たすことになるのです。
最近、皮膚科も様々な皮膚疾患が、病巣感染による症状だと気づいています。
この異常な病巣感染が耳鼻咽喉科領域であり、歯科領域に存在します。

患者の治療を考慮し、内科医や皮膚科医と歯科医が協力しながら原因究明と治療戦略について議論し、情報を共有することが必要ですが、それが日本の治療現場に欠けています。

ポーセレン冠

インプラントが、 儲け主義の歯科医たちの絶好の稼ぎになっているといった事実があります。
とくに歯槽膿漏治療を熱心に行う歯科医たちの中には、ポーセレン冠の不適合のために腫れたと考えられる例を、これまで多く診て「ポーセレン冠はよくない」と嘆いてきたとする例もあるようです。

技術不足の歯科医・技工士が、従来はかなりいたとされています。
金属冠より健康面で害が出やすいのは、構造が複雑なため、 ぴったりに仕上げにくいからとも言われています。
作った冠の形が悪かったり、少し構造が不適切だったりすると、とたんに歯垢がつきやすくなります。
とくに冠縁の作りかたが難しいようです。
ぴったりかどうかは、しばしば大問題になります。
この精度が悪いと、金属冠でもポーセレン冠でも、どちらでもいけないのです。

ポーセレン冠は、強度を受けもつ金属の上に、金属の色を隠す不透明な陶材の層と、ポーセレンの層とを盛りあげて作ります。
金属冠は一層なのに、メタルポンドは三層になります。
そのうえ、焼き上げるときの収縮も考えねばならず、焼き上げてからの微調整も、金属冠とちがって難しいのだといいます。
冠をできるだけ上下に短く作り、浅くかぶせて、冠縁を歯肉と離して仕上げ、よくブラシを使えば、歯と歯ぐきの境目に歯垢がたまるのを、極力防ぐことができます。

歯を大事にして、きちんと磨く患者の金属冠なら、こういう冠に仕上げようと努める歯科医もかなり多いようです。
こうしないと、歯槽膿漏になりやすいからです。
ところがポーセレン冠だと、もともと見ばえ第一だから、どうしても陶材と天然歯の境目が見えるのはぶざまと考えます。

また、ポーセレン冠の金属部分を、金や白金加金など貴金属系でつくれば問題ないのですが、金属部にニッケルクロムなどの合金(非貴金属系)を使うと、金系を使うより多少安くできるのですが、かぶせたあとでイオン溶出などのため、歯ぐきが黒くなってくることがあるといいます。
見ばえをよくしたいのに、歯肉が黒まだらになっては、患者から苦情が出ます。

こんな事情が重なって、ポーセレン冠の場合はとくに、冠縁を歯ぐきの中(歯肉縁下)におさめることになります。
冠の縁が歯ぐきの中に入ると、とくに冠縁がぴったりでなく、歯との聞にすき間が あった場合、歯槽膿漏を誘発することになりかねないのです。

溝埋めの虫歯予防

奥歯の暁合面の虫歯予防に考え出されたのが、溝埋めです。
接着カのあるプラスチック(レジン)で、あらかじめ溝を埋めてしまうのです。

虫歯で削ったあとを詰めるプラスチックと同類の材料ですから、きちんと埋めれば、虫歯になりっこないはずと言われているようです。
ですが埋めたレジンがはがれなければ、虫歯にならないといっても、一生レジンで溝埋めした歯で過ごすというわけにもいかないですし、そもそもいずれはがれるものです。

その時、虫歯にならないかなどと、長期的には議論もあります。

しかし、はがれるまでの間に、歯質も多少は強くなるだろうとか、子供のうちにおこなえば大きくなってから取れるのだから、予防も心がけやすかろうとか反論も出ていようです。
いずれにしても、短期的には、きちんと埋めればそれなりの予防効果をあげているようです。

実際上、虫歯を三分の一に減らした、などの一、二年の経過報告は、いくつか出ています。
しかし、この技術はコツも必要。
歯科医の技術がいい加減だと、高確率で取れてしまうようです。